『カスバの男』  

アーティスト、大竹伸朗によるモロッコ旅行記
これは単なる旅行記ではない。
さすがアーティスト!と思わせる言葉や感覚を駆使した
ものすごくリアルなモロッコを描いた一冊。

「いま」を突きつけられる場所
目の前に起きていることを絵で描くのは、
カメラのシャッターを押すより「いま」が逃げやすい。
描こうと思いペンのキャップを外したときには、
目の前を通り過ぎる人間はもう既に「いま」にはいない。
あとは頭の中にいるだけだ。
紙の上に定着するには明らかに手遅れのその人間は、
書き手の網膜を通って紙の上に現れるわけだが、
そこにはカメラとは全く異なる時間が流れるような気がする。
モロッコはそんな「いま」を、僕に大いなるプレッシャーとして突きつけてくる。

(本文より抜粋)




解説の角田光代もこんなふうに書いている。

無知な私は、この偉大な芸術家のことなど何も知らずこの本を手に取り、
即座に引き込まれ、夢中で読みふけり、
読み終えてすぐさま、モロッコ行きの航空券を買いに走った。
(省略)
本書には、モロッコに思わず行きたくなってしまうような、
素敵なエピソードも美辞麗句もない。
・・・けれど私が猛烈に彼の地にひかれたのは、
たぶん作者が「生(なま)」を描いたからだ。
私がいるこことは異なる場所の本質を、実に生々しく描いていて、
私はその「生っぽさ」を実際に体で感じたかったのだと思う。
ひょっとしたらそれは、その地にいるよりこの本を開いた方が
よりリアルに感じられるのかもしれない、とうすうす思いながら。
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by cafe-lover79 | 2006-11-21 17:20 |  *モロッコ 2006


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